アメリカの移民政策 DACAって何?

法学

DACAって何?移民のルール

今回はアメリカのニュースなどでは依然としてよく聞かれる移民問題について、よく聞かれるような政策やルールについて内容や運用の変遷を自分なりにまとめてみた。

幼年期到着者のための延期措置(DACA)

2012年にオバマ政権によって導入されたDACA。これは子供の頃に米国に来た適格な移民の若者を強制送還から保護するために作られた措置である。

DACAは法的地位や市民権取得への道を提供するものではないが、強制送還措置の2年間の猶予と労働許可証の資格を提供する。

このDACAの略はDefered Action for Childhood Arrivals、である。つまり「遅延措置for幼年期到着者」ということだ。

このプログラムの合法性は激しい議論と法的精査の対象となってきた。2017年9月にトランプ政権はDACAを段階的に廃止する計画を発表しいくつかの法的挑戦を招くことになる。

注目すべき裁判の1つであるカリフォルニア大学リージェンツ対国土安全保障省の裁判は最高裁に至った。

同裁判所は2020年6月、政権がDACAを取り消した方法は行政手続法に基づき恣意的かつ気まぐれなものであるとの判決を下し、同プログラムの一時的な継続を事実上認めた。

‘Dreamers’ respond to DACA ending

DACAをめぐっての論争

この政策はしばしば「ドリーマー」と呼ばれる適格な移民の若者を強制送還から守るために考案されたといわれるが、さまざま論争がある。

指摘としてはDACAは行政権の行き過ぎであり移民制度改革を制定する議会を迂回するものだと主張する。

また、DACAが不法移民を助長し、合法的な経路をたどるルールを遵守している移民よりもDACA受給者を不当に優先させる可能性があるとも主張している。

反対にDACA支持派の意見としては子どもの頃に入国したDACA受給者は、親の決断を罰せられるべきでなく、経済的にも文化的にもアメリカ社会に大きく貢献していると主張している。

法的な争いもこの論争の重要な側面である。さまざまな州がDACAを支持または反対する訴訟を起こし、その結果、プログラムの一部または全部を阻止または復活させる判決が相次いだ。

一時的保護資格(TPS)

TPSとは環境災害、進行中の武力紛争、または異常かつ一時的な状況にある特定の国の国民に提供される一時的な移民資格である。

TPS受益者は強制送還されずに就労許可を得ることができ、渡航許可も与えられる。

2018年、トランプ政権ではエルサルバドル、ハイチ、ニカラグア、スーダンを含む数カ国のTPS打ち切りを発表し、数十万人が影響を受けた。

ラモス対ニールセンの裁判では、決定プロセスの合法性に懸念があるとしてこれらの国に対する、TPSの終了が一時的に阻止された。

パブリック・チャージ・ルール

まず、パブリックチャージとは生活保護や公的扶助のことである。また主に生計を政府に依存するようになる可能性が高い個人を指して言われる。

2019年、トランプ政権はパブリックチャージとみなされる人物の定義を拡大した。

それによってメディケイド、フードスタンプ、住宅バウチャーなど特定の公的給付を利用した移民の合法的永住権取得を困難にした。

この規則に対して複数の訴訟が起こされ、裁判所は施行差し止め命令を出した。

しかし最高裁は、法的な異議申し立てが続く中、2020年2月にこの規則を施行することを認めた。

ただしその後のバイデン政権ではこの規則を見直し、2021年には結局取り消されることとなった。

Trump administration’s “public charge” rule targets poorer immigrants

ゼロ寛容政策と家族分離

2018年4月、トランプ政権はゼロ寛容、つまり「ゼロ・トレランス」政策を発表した。これは米国に不法入国したすべての成人を刑事訴追することを義務付けたものだ。

この政策はやはりまた広範な非難と法的挑戦を呼んだ。2018年6月、Lさん対ICEの裁判では、引き離された家族の再統合を求める判決が下された。

この政策が正式に終了したにもかかわらず、国境での不法移民たちの家族分離の報告は続いており、家族再統合の努力は継続中である。

ゼロ寛容政策をめぐる論争

この政策により、続々と入る不法移民の大人は米国の施設に拘留措置と米国の裁判所で起訴がなされ、子どもは米保健福祉省の保護下に置かれることとなった。

この結果として国境で何千人もの子どもたちが親から引き離されることになった。

この政策は、一般市民、政治家、国際的な人権団体などから非難を浴びたようだ。批評家たちは家族を引き離すやり方は非人道的で子どもたちにトラウマを与え、人権とアメリカの基本的価値観に反するなどといった形で不法移民へのゼロ寛容を非難した。

こうした反発を受けてトランプ政権は2018年6月、不法移民という違法行為による無秩序と家族分離という非人道的問題を解決するため中間を取った。費用はかかっても不法移民の親子をまとめて一緒に収容することにすることを目指す大統領令に署名を行った。

メキシコ残留政策(移民保護プロトコル-MPP)

2018年12月に発表されたMPP政策は、米国とメキシコの国境に到着した亡命希望者に対し、その申請が米国の移民裁判所で処理される間、メキシコに留まることを義務付けるという政策だ。

MPPに対する法的な抗議も一応ある。亡命希望者を危険な状況に置き去りにし亡命を求める権利を侵害しているという主張である。

ただこれについてはメキシコからの亡命者であれば話は別かもしれないが、第三国から来た多くの亡命者たちにとってメキシコや、特にアメリカメキシコ国境沿いがそれほど危険かという論拠はやはり疑問視されるところだろう。

いたずらに判断の期限が延ばされるのは問題ではあろうが。

実際にまず米国の最高裁としては、訴訟が続く間はこの政策の実施を認めることとなった。

しかしのちにバイデン政権は2021年6月、この政策を廃止する計画を発表し、MPPの影響を受けた個人を次々に米国に入国させ亡命を求める手続きを開始した。

ということで

以上こんなところであるが、現在2024年後半、今後の大統領選挙によってはさらなる変更や新政策が発表されることと思う。

移民問題を見る際は、以上のような連邦の政策、そして影響を直接受けやすい国境沿いの州の議会や州知事の政策などにも注目である。