エマニュエル・マクロンの移民政策
まず、マクロン大統領の移民政策について
2023年12月、フランス議会は新たな移民法を可決しました。
この法案は、移民の家族呼び寄せを制限し、福祉給付の開始を数年遅らせる厳しい措置を含んでいます。
これによりフランスの移民政策は大きく変わり、特に不法移民に対する規制が強化されることとなりました。
フランスはこれまで、外国人居住者に対して比較的寛容な福祉政策を維持してきましたが、今回の法案はその方針に対する大きな転換を示しています。
この移民法の可決はマクロン大統領の中道連立政権内に亀裂を生じさせました。
法案は極右勢力の支持を得るために妥協が行われた結果、可決に至ったのです。
特に極右政党の国民戦線のルペン党首は、この法案を「イデオロギーの勝利」と称賛し、政府に対する支持を表明しました。
このような動きは、政権内の左派勢力に不快感を与え、政治的な緊張を高める要因となっています。
この法案は移民の権利と生活条件に対して最も後退的なものであると広く批判されています。
多くのNGOがこの法案に反対し、移民に対する差別的な条項が含まれていると指摘しています。
特に家族呼び寄せの制限や福祉給付の遅延は、移民の生活を一層困難にするものとされています。
フランス国内では、この移民法に対する賛否が大きく分かれています。特に左派からは強い反発があり、法案の内容に対する抗議活動が行われています。
左派連合は、7月の総選挙で最大勢力となったにもかかわらず、マクロン大統領が同連合から首相を選出しなかったことに不満を示し、デモを呼びかけています。このような状況は、国内の政治的緊張を一層高める要因となっています。
マクロン大統領はこの移民法を「盾」として位置づけ、フランスの移民問題に対処するために必要であると主張しています。
彼は、移民の流入を抑制するためにより厳格な政策が求められていると考えており、法案の可決はその一環であるとしています。
このような立場は、国内外の政治的な圧力に応える形での政策決定であり、今後のフランスの移民政策に大きな影響を与えることが予想されます。
フランスの移民と宗教の現状 ドイツやイギリスとの比較も
フランスの移民人口の割合
| 国籍 | 移民人口の割合 (%) | 主な宗教比率 |
|---|---|---|
| アルジェリア | 13% | イスラム教徒 |
| モロッコ | 11.9% | イスラム教徒 |
| ポルトガル | 9.2% | カトリック教徒 |
| チュニジア | 4.4% | イスラム教徒 |
| イタリア | 4.3% | カトリック教徒 |
| トルコ | 3.8% | イスラム教徒 |
| スペイン | 3.7% | カトリック教徒 |
フランスの移民人口は、2023年のデータによると約700万人。
これは総人口の約10.3%に相当します。
フランスの移民の中で北アフリカやサブサハラアフリカからの移民が多く、特にアルジェリア、モロッコ、チュニジアからの移民が目立ちます。
ドイツの移民人口は約1090万人でこちらは総人口の約13%に相当します。
ドイツでは、特にシリアやアフガニスタンからの難民が増加していて移民の多くは労働市場に参加しています。トルコ出身者が最も多く、次いでポーランドやロシアからの移民が続きます。
イギリスの移民人口は2021年の国勢調査によると、ドイツとほぼ同じ約1070万人です。
これは総人口の約16%を占めています。
かなり多く見えますがイギリスはEU内からの移民が多く、特にポーランドやルーマニアからの移民が目立ちます。また、この移民の中には、学生や家族再統合を目的とした人々も含まれています。
イギリスでは移民の中で労働市場において重要な役割を果たしているのは主にEU市民だといわれているようで、彼らは約8%を占めています。
フランスの移民の宗教
主にイスラム教徒とカトリック教徒の2つが多いです。
- イスラム教徒: アルジェリア、モロッコ、チュニジア、トルコからの移民は、ほぼ全員がイスラム教徒であり、特にアルジェリアとモロッコからの移民は、フランスの移民人口の中で大きな割合を占めています。これらの国からの移民は、フランスにおけるイスラム教徒の主要なコミュニティを形成しています。
- カトリック教徒: フランスのカトリック教徒は、主にポルトガル、イタリア、スペインからの移民に見られます。ポルトガルからの移民の約90%がカトリック教徒であり、イタリアとスペインからの移民も同様に高い割合を示しています。
マクロンは親中? 中国との関係
マクロンは親中とも言われることがありますが、実際にフランスと中国の経済的パートナーシップは、航空宇宙、農業、エネルギーなどの分野での協力を通じて強化されています。
特に、両国は2024年に国交樹立60周年を迎えるにあたり独立自主を堅持し、新冷戦や陣営対立を防ぐための戦略的意思疎通を重視しています。
フランスと中国は気候変動や国際安全保障といったグローバルな課題に対しても協力を深めています。
マクロン大統領は両国が先端技術分野での成果を上げていることを評価し、戦略的安定を強化するための具体的な取り組みを進めています。習国家主席は互恵協力の潜在力を発掘し、人的・文化的交流を促進することが重要であると強調しました。
具体的には、フランスからの農産品やハイテク製品の輸入拡大を図りビザ免除の延長を通じて人的交流を促進する方針です。
また、フランスは中国企業に対して投資を歓迎する姿勢を示しています。
こうしたフランスと中国の関係はEU全体の対中政策にも大きな影響を与えています。
マクロン大統領はフランスというEUの大国の地位と経験年数によって今やEUの重要政策を主導する人物としての地位を確立しています。彼の外交政策がEUの対中戦略においても重要な役割を果たしているのが現状といえるでしょう。

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マクロンの学歴と経歴
マクロンの学歴はフランスの名門校であるサイエンス・ポー(パリ政治学院)とENA(国立行政学院)を卒業した、フランスの政治家や官僚の王道ともいえる学歴コースを歩んできました。
これらの教育機関は双方ともにフランスの政治エリートを育成する場として知られ、マクロンの政治的キャリアの基盤を築く重要な役割を果たしました。
そして学問的には公共政策や行政管理の専門家ということです。
マクロンは経済省でのキャリアをスタートさせ、その後、投資銀行であるロスチャイルド・アンド・カンパニーに移りました。
ここでの経験は、彼に経済の実務的な側面を理解させ金融市場における洞察を深める機会を提供したといえるでしょう。
このような背景は、彼が後に経済大臣として推進する改革において、実務的な視点を持つことを可能にしました。
2012年、マクロンはフランソワ・オランド大統領の下で経済大臣に就任しました。
この役職において、彼はフランス経済の活性化を目指し労働市場の改革や企業の競争力向上に向けた政策を推進しました。
特に、労働法の緩和や税制改革は、彼の経済政策の中心的な要素となり、フランスの経済成長を促進するための重要なステップとされました。
2017年、マクロンはフランス大統領に選出され、史上最年少の大統領となりました。
彼の選挙キャンペーンは、革新的な政策と新しい政治スタイルを打ち出し、特に若者からの支持を集めました。
彼の当選は、フランスの政治風景に新たな風を吹き込み、既存の政党に対する反発を象徴するものでした。
マクロンの政治的ビジョンはフランスを経済的に強化し、国際的な影響力を高めることにあります。彼は、欧州連合の統合を進める一方で、フランスの国益を守るための政策を展開しています。
また、彼の外交政策は、中国との関係強化や、国際的な課題に対するフランスのリーダーシップを強調しています。
マクロンのビンタ事件の詳細
最後に色々なメディアで取り上げられたマクロンのビンタ事件。
マクロン大統領が平手打ちされたのは、フランス南東部のタイン=ル=エルミタージュを訪問中の出来事で、彼がバリアに近づいた際に発生しました。
平手打ちをした男性は、”マクロン主義に反対”と叫び、フランスの古い王国の戦いの叫びである”モンジョワ、サン=ドニ”を唱えました。
事件後、自称愛国者の男性が逮捕され、地元の警察によって捕まり粛々と禁錮四ヶ月の判決がくだりました。
事件後、マクロン大統領はこの出来事を「孤立した出来事」として捉え、あっさりと流し引き続き市民との対話を続ける意向を示しました。
民主主義の根幹である市民とのコミュニケーションを重視しており、暴力に屈することなく、より多くの対話を促進する姿勢を彼はこの事件を通じて逆に強調しました。
この事件はフランス国内で大きな話題となり政治家たちからは暴力を非難する声が上がりました。
多くの政治家がマクロン大統領への攻撃を強く非難し、民主主義の価値を守るために無法者の暴力に対抗する必要性を訴えました。
また、この事件を受けて大統領の警護体制は強化され、今後の公務における安全対策が見直されました。
公共の場での大統領の安全を確保するための新たなプロトコルが導入され、警備の専門家たちがより厳重な監視体制を敷くこととなりました。
この事件はフランス国内の政治的緊張や社会的不満を反映していると考えられています。
特に移民問題や社会的な不平等が市民の間での不満を高めており、これが暴力的な行動に繋がる要因となったなどの論評があります。
マクロンのビンタ事件へのフランスの反応
フランス人の反応としては事件そのものに対する驚きと怒りが広がりました。
多くの人々は暴力行為が民主主義の根幹を揺るがすものであると考え、マクロン大統領に対する攻撃、民主主義に対する暴力犯罪を非難しました。
民主主義の国では当然の反応ともいえますが、フランスの首相ジャン・カステックスは、この事件を「民主主義への侮辱」と強い表現をし、暴力犯罪に対する強い反対の姿勢を示しました。
さらに、事件後の報道で平手打ちをした男性が「マクロン主義を打倒せよ」と叫んでいたことが強調され、極右思想の台頭や社会の分断が懸念されました。
冷静に考えれば、時には右より、中道、左よりと、割と柔軟に政策対応している側面のあるマクロン大統領について、マクロン主義、がなんなのかがよくわからないというのはあります。
ただこの時は犯人が愛国者と名乗ったことによって、極右主義の問題の一端として報じられていた側面もありそうです。
また、事件に対するフランスの政治家の反応としてはとにかく強い非難が寄せられました。
左派の指導者ジャン=リュック・メランションは、マクロン大統領への連帯を表明し、暴力に対する明確な拒絶を示しました。
右派の代表であるマリーヌ・ルペンも、民主的な議論が物理的な暴力を許容することはできないと述べ、事件を非難しました。
不埒者による暴力の介入は、民主主義政治に論外という点ではノーサイドとして、フランスがまとまった事件ともいえるでしょう。
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