現代の著名な経済学者2 マンキュー経済学からケース・シラー指数、ピケティまで

経済

現代の有名経済学者たち

N. グレゴリー・マンキュー

グレゴリー・マンキューはハーバード大学の経済学教授であり、マクロ経済学の理論において影響力を持っています。彼は2007年から2015年までハーバード大学の経済学部の学部長を務めました。

マンキューは、価格の硬直性と新ケインジアンモデルに関する研究で知られており、名目の硬直性が経済の変動を説明する役割を強調しています。

彼の教科書「Principles of Economics」は、入門コースで広く使用され、経済学の教育に大きな影響を与えています。また、ジョージ・W・ブッシュ大統領の下で経済諮問委員会の顧問を務めるなど、政府機関への助言も行っています。

ジャン・ティロール

ジャン・ティロールは、2014年に市場の力と規制に関する分析でノーベル経済学賞を受賞したフランスの経済学者です。

彼はトゥールーズ経済学校で長い任期を持ち、産業組織論とゲーム理論に大きく貢献しています。ティロールの研究は、不完全競争の市場で企業がどのように相互作用するか、そして市場の結果を改善するために規制政策がどのように設計されるべきかに焦点を当てています。

彼の影響力のある著書には「The Theory of Industrial Organization」や「Economics for the Common Good」があり、複雑な経済問題をわかりやすく説明しています。

ダロン・アセモグル

ダロン・アセモグルは、政治経済学の広範な研究で有名なトルコ系アメリカ人の経済学者である。政治制度と経済成果との関係についての研究は、特に大きな影響力を持っている。

ジェームズ・A・ロビンソンとの共著『Why Nations Fail(国家はなぜ失敗するのか)』では、経済的繁栄には包括的な政治・経済制度が不可欠であると論じている。

この研究は、開発経済学、政治経済学、経済史の各分野に多大な影響を与え、経済成長と発展に制度がどのように影響するかについての理解を再構築した。研究テーマは、労働経済学、経済成長、所得分配、政治制度など多岐にわたる。

ダグラス・ノース

ダグラス・ノース(Douglass North)は、経済成長における制度の役割を強調した経済学者です。

彼の主なアイデアは、経済の発展は単に技術革新や資本の蓄積だけではなく、制度的な枠組みやルールが重要であるということです。

ノースは、制度が経済のインセンティブ構造を提供し、これが経済の変化や成長の方向性を形作ると主張しました。彼の研究は、特に「クリオメトリックス(cliometrics)」と呼ばれる経済史の定量的分析手法の発展に寄与しました。

ノースの理論は経済の発展における制度の重要性を示すもので、彼は1993年にノーベル経済学賞を受賞しました。彼の著作には『Understanding the Process of Economic Change』や『Institutions, Institutional Change and Economic Performance』などがあります。

彼の理論は、特に発展途上国の経済成長において、制度の質が重要であることを強調しています。

暴力と社会秩序について語るダグラス・C・ノース

オリヴィエ・ブランシャール

オリビエ・ブランシャール(Olivier Blanchard)は、マクロ経済学の分野で著名な経済学者であり、特にニューケインジアンモデルの発展に寄与しました。

また国際通貨基金(IMF)のチーフ・エコノミストを務め、特に世界金融危機の最中とその後のマクロ経済政策の議論と対応の形成に重要な役割を果たした。

彼の基本的なアイデアは経済のフレキシビリティと不完全情報の重要性です。

ブランシャールは経済主体が未来の期待に基づいて行動することを強調し、これがマクロ経済の動きに影響を与えると考えました。

彼の著作『Macroeconomics』もマクロ経済学の教科書として広く使用されており、経済政策の実施における理論的な基盤を提供しています。ブランシャールはまた、経済政策の効果や金融政策の役割についても多くの研究を行っています。

ブランシャールはマクロ経済学における期待の役割を強調し、特に金融政策と財政政策の相互作用についての研究が多く、経済危機の際の政策対応に関する洞察を提供しています。

彼はまた、経済の短期的な動きと長期的な成長の関係を探求し、マクロ経済モデルの実用性を高めるための理論的な基盤を提供しています。

ロバート・シラー

ノーベル賞受賞者、行動経済学の重要人物。金融市場、不動産経済学、行動ファイナンスの研究で知られる。

シラーが開発したケース・シラー指数は、米国の住宅価格の変動を追跡するもので、不動産市場や経済バブルを理解する上で特に重要である。

具体的には彼は特に市場の非合理的な動きやバブルの形成に関する研究で知られています。

著書『根拠なき熱狂』では、投資家の心理や感情が市場に与える影響を分析し、経済の動きが必ずしも合理的な判断に基づいていないことを示しました。

シラーは経済の動向が人々の物語、ナラティブによって大きく影響されると考えており、これを「ナラティブ経済学」と呼んでいます。この理論は、経済的な出来事がどのように人々の信念や行動に影響を与えるかを探求しています。

また、シラーは不平等や資産の集中についても言及しており、経済政策がどのようにこれらの問題に対処できるかを考察しています。彼は、特に富裕層に対する累進課税の必要性を強調し、社会的な不平等を是正するための政策提言を行っています。

シラーは「不平等保険」という概念を提唱しており、これは将来的に不平等が悪化した場合に自動的に高所得者の税率を引き上げる仕組みを提案しています。経済的不平等を事前管理するための長期的な政策として有用なアイデアの一つと思われます。

不動産価格の変動があるたびに各放送局に呼び出されているのを目にする。 ロバート・シラー氏

ダニ・ロドリック

ダニ・ロドリックはトルコ系アメリカ人の経済学者で、国際経済学と経済発展に大きく貢献したことで知られる。

グローバリゼーション、経済成長と発展、政治経済について幅広く研究している。自由なグローバリゼーションの影響について批判的な視点を持ち、経済的成功における国家制度の重要性を強調している。

経済政策に対する画一的なアプローチに対する懐疑論は、グローバリゼーションと開発に関する言説に影響を与えています。

LSE(ロンドンスクールオブエコノミクス)で公演をするアマルティア・セン

トマ・ピケティ

トマ・ピケティは所得不平等と富の分配に関する研究で知られるフランスの経済学者です。

トマ・ピケティは、特に『21世紀の資本』という著書で知られ、資本主義における不平等の歴史的な分析を行っています。

彼の主な主張は、資本収益率(r)が経済成長率(g)を上回る場合、富が集中し、不平等が拡大するというものです。この不等式は、資本主義の構造的な問題を示しており富の不平等が進行することを表します。

ピケティは、歴史的なデータを用いて、過去数世紀にわたる富の分配の変化を分析し、特に20世紀初頭と21世紀初頭の不平等の違いを指摘しました。

また、その対策としては富裕層に対する累進課税、国際的な資本課税の導入、を提唱しています。

資本主義の深い構造が不平等を生む根本的な要因であるとピケティは考えています。先に述べたように、彼は過去のデータを基に資本の収益が経済成長を上回る、傾向、があることを強調し、したがってこれが長期的な不平等の拡大を引き起こすと警告しています。

エスター・デュフロ

エスター・デュフロはMITの教授であり、アブドゥル・ラティフ・ジャミール貧困アクションラボ(J-PAL)の共同創設者です。

彼女は、2019年にアビジット・バナジーおよびマイケル・クレーマーと共にノーベル経済学賞を受賞し、世界の貧困を軽減するための実験的アプローチで認められました。

デュフロの研究は、社会プログラムの効果を評価するためにランダム化比較試験(RCT)を使用することを強調しています。この方法論は、政策決定を情報に基づいて行うための実証的証拠を提供します。

彼女の研究は、インドの子供たちの予防接種率を大幅に向上させるシンプルなインセンティブの効果を示すものです。